マムシ流 つれづれ草 第44回

【育った土地の心意気と、育った畑の面白さを活かして生きよ!】

 老若男女諸君! 「暑さ寒さも彼岸まで」とはいうが、お彼岸以降、少しは過ごしやすい日も増えてきた気がするな。しかし、10月の声を聞いても、まだ夏服のようなかっこうで過ごすとは思わなかったけどな。
 まぁ、季節に関係なく、1年365日、オレはオレのペースとスタイルで過ごすよ。
 今年もあと3ヶ月ってわけで、またいろいろと忙しくなるかもしれないが、楽しく過ごしていこう。まだ、コロナやインフルエンザがその辺をウロウロしてるけど、めげずにな。

 9月の終わりは、ニール・サイモン作の『ローズのジレンマ』という芝居を見に行った。劇団民藝の公演だ。主人公の人気流行作家・ローズを演じる樫山文枝さんと、その元恋人で幽霊として登場するウォルシュを演じる篠田三郎ちゃん。
 そこにローズの助手であり実の娘であるアーリーン、そのフィアンセとなる売れない若手作家・ギャビンが絡んで繰り広げられる4人芝居だ。ニール・サイモンと言えば、劇作家、脚本家として『おかしな二人』をはじめとする軽妙洒脱な作品を次々と世に送り出したブロードウェイの巨匠だよね。ニューヨーク郊外の海辺の別荘を舞台にしたこの芝居もいい話だったよ。まぁ、細かいことはここでは語らないけど、やっぱり良質な芝居はいいもんだよ。オレも演劇からこの世界に入った、もともと芝居畑の人間だから、芝居の面白さは実によくわかるし、やっぱり舞台はいい。オレの芝居心にちょっとだけ火がついたかもしれねぇな、ハハハ。今度また、篠田三郎ちゃんに『マムちゃんねる」に出てもらって、演劇論でも戦わせるとしようか、ハハハ。

 9月最終土曜日の『ミュージックプレゼント』は、まさに土曜日としての最終回となった。相変わらずジジイババアを佃煮みてえに集めての放送はできないけど、また楽しい放送になったぞ。
 お邪魔したのは、4年前にも出かけた、千駄木・よみせ通り商店街の酒屋『リカーズ のだや』だ。2代目の親父夫妻と3代目の息子夫妻が切り盛りするいい店なんだよ。この日は3代目のおかみさんのお母さんも登場して、いろんな話に花が咲いたぞ。
 2代目の親父・佐藤晋二郎さん(78歳)は、初代が昭和10年からやっていたという味噌・醤油の店を引き継いで酒屋にしたんだ。奥さんの安子さん(71歳)は浅草・今戸の出身。
 息子は幸平さん(44歳)で、その奥さんの智子さん(52歳)は戸塚出身だ。この日来ていたおふくろさんももちろん戸塚出身。それでなんと二人ともオレが親父の故郷である戸塚の汲沢(ぐみざわ)に疎開していた時に通っていた大正小学校出身だった。おふくろさんの方は、オレが教えてもらった大山先生という女の先生のことを知っていやがった。いやぁ、嬉しいね!
 で、親父と息子はもちろんこの土地の出身だから、谷中出身のうちのカミさんと同じなんだよ。なんか、いろいろとオレの家との共通点が多くて、地元話や昔懐かしい話に花が咲いたぜ。
 谷根千(谷中・根津・千駄木)と言えば、観光客や粋な散歩人には常に大人気な場所だろ。文豪や芸術家、芸人など粋人が数多く住んでいた土地だ。親父なんて、この辺りで育った古今亭志ん朝さんの話になったら興奮しやがった。それになつかしい映画の話をして、オレがターザンの雄叫びをしたら、一緒になってやりやがった、ハハハ。
 でも、やっぱりこの辺りの町の風情、人の情や心意気はいいもんだよな。日本全国津々浦々には、その土地土地の良さがある。そしてそこで育った人にはその人なりの歴史や心意気がある。また、自分が育ってきた畑、つまり家業や仕事があるだろ。それを活かして人生を謳歌していくことが大事じゃねぇかな。オレはそう思うね。
 
 10月1日、15日の『マムちゃんねる』は、前回も予告したとおり、宮藤官九郎ちゃんが登場するぞ。自身で脚本を書くし、演出もして、演技もするわけだから、その引き出しは並大抵じゃないぜ。それぞれの相乗効果で、これからもどんどんいい作品を世の中に出して欲しいよ。9月1日から公開されている山田洋次監督の『こんにちは、母さん』にも役者としてちょこっと出てるんだってよ。そんな話もしてるからな。ぜひ見てくれよ!
 そうそう、『ミュージックプレゼント』は、以前も話したとおり、10月からは金曜日の16時からの放送になる。『金曜ワイドラジオTOKYO『えんがわ』』のなかだ。そんなわけで、第一回目の10月6日はスタジオにお邪魔するぞ。玉袋筋太郎と外山惠理といろんな話を転がすからな。楽しみにしていてくれ!


 

(構成・伊波達也)

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