マムシ流 つれづれ草 第70回
【介護、戦争、政治、世相・・・、考えるべきことを考え行動する大人になれ!】
老若男女諸君! 秋らしいというか、寒さが急に押し寄せてきているな。二十四節気では霜降だから、まぁ、それもうなづけるんだけどね。寒いと言えば、選挙の後のあーだこーだはお寒いな。自民党政権にお灸を据えたのはいいけど、なんだか、自分たちのことばかり考えている政治家たちの、政局がらみの右往左往は見ていて情けねぇよ。首班指名のための数合わせにばかり血道をあげている印象だ。国民のためになる政治に力を注いでくれる奴はいないのかねぇ。こうなったら、与党、野党なんて関係ねぇな。頼むから、正直者が馬鹿を見ることのない、額に汗して働く人々が笑顔で暮らせる世の中にしてくれよ。
10月の後半もいろんなことがあった。いろんなことがあり過ぎて目が回りそうだぜ、ハハハ。聖徳大学の講義が今年も始まったし、ラジオのレギュラーはいつも通りにいろんな話題に触れたよ。それ以外にも、選挙に、ワールドシリーズに、ほんの少し日本シリーズにと、いろいろと関心事は尽きないよな。
10月18日の金曜ワイドラジオTOKYO『えんがわ』では、12月20日に開催する、第19回『マムちゃん寄席』について告知した。この日は奇しくも、玉袋筋太郎が休暇を取ったということで、うちのはぶ三太郎が、久々のパーソナリティとして番組出演とあいなった。外山惠理と三太郎とスタジオで語り合うなんて、実に久しぶりのことだよ。まぁ、永さんの話題が出たり、いろんな話ができてよかったよ。永さんもあっちで笑って聴いてくれてたんじゃねぇかな。
残念な話題もあった。前回、大山のぶ代の訃報の話をしたが、その直後に西田敏行さんの訃報が入ってきた。ちょうど1年前、『ねりま映画サロン』というオレが懇意にしているNPO法人「古き良き文化を継承する会」の根本氏が制作スタッフをしているYouTubeで対談したんだよ。西田さんと言えば、喜劇から悪役まで、何をやってもサマになる実に人間味のあるいい役者だったよね。対談ではいろんなエピソードを語ってくれて、ここじゃ書ききれないよ。その中で印象に残っているのが、フランスの劇作家・モリエールの喜劇『スカパンの悪巧み』の舞台で、西田さんは、けん玉を登場させたんだよ。何でフランスの演劇でけん玉が出るんだってことなんだけど、フランスの笑劇であっても、セリフは日本語なんだから、けん玉やってもいいじゃないかってことなんだ、ハハハ。実に面白えよ。それから、西田さん主演の映画の当たり役と言えば『釣りバカ日誌』だけど、西田さんも三國連太郎さんも釣りは大嫌いなんだってよ、ハハハ。そんなこんなでゆっくりとさまざまな話ができて嬉しかった。オレよりも12も若い76歳での逝去は残念でならないが、あっちでもどうぞ活躍してください。心よりご冥福をお祈りしますよ。
聖徳大学では、今年の初回授業をおこなってきた。まぁ自己紹介も兼ねて、空襲の体験を話した。オレの孫、下手したら曾孫と言ってもいい女の子80人を前に、戦争の話も含め、体験に基づくいろんな話をできる機会があることは、とても素敵なことだと思っているよ。20年以上前にこの講義を担当してから、当初はずっと介護職を目指す学生を教えていたんだが、当時100人くらいいた介護志望の学生が、今やわずか8人なんだよ。だから現在は、いろんな職種を志望する学生を横断的に教えているんだけどね。でも、若い諸君が、自分より60も70も上の人間の話を聞くのは、介護職につかない諸君にも感じ入ってもらえるところがあると思ってるよ。今や、ますます変な世の中になっているだろ。冒頭の選挙のことじゃないけど政治についてだ。そして、介護職の現状、どんどん世界がきな臭くなって来ている戦争のこと、若者による変な事件・・・、わずかに残されたオレたち世代が指摘しておかなきゃならないことが大有りだよ。これからの世の中を背負っていく若者諸君には、今、この世の中で起こっている問題に怒ってもらいたいし、自分事として考えるべきことを考えて行動する大人になってもらいたい。そうしないとヤバイことになるぞ。だからオレは押し付けがましくなく、琴線に触れるような話をいっぱい提供していきたいんだ。
10月の『ミュージックプレゼント』は、浅草は千束、明治初期から江戸すだれを作り続けている『田中製簾所』にお邪魔した。4代目の田中義弘さんは昭和12年3月生まれの87歳。ちょうどオレより1つ下だよ。そして5代目の耕太朗さんは62歳だ。日大理工学部で研究室にまで勤めたというバリバリの理工系だが、家業を継いだんだ。今や簾を作る家が都内では3軒あるかないかだってな。
この親父と息子、二人の佇まいが実にいいんだ。親父は、パーキンソン病の奥さんの介護を続けたが亡くなってしまった。その親父が言うには、介護をしたのではなく介護をさせてもらったんだとさ。その言葉にはまいったよ。そして、息子は、奥さんを子宮頸がんで亡くしたんだ。でも二人とも最愛の妻を今でも愛している。二人の佇まいがいいのは、きっとそんな愛が滲み出てるからだな。
親父は、昭和20年3月10日の『東京大空襲』についても切々と語ってくれたよ。その語り口も実にいい。息子は無口だけど、実にいい笑顔で応対してくれて、職人らしいよ。
オレも隣町と言える竜泉寺で育ったし、浅草六区の往時をはじめとする懐かしい話もいっぱいできて嬉しかった。これからも父子二人、仲良く老舗を盛り上げてくれ、頼むぜ!
さて、11月の『マムちゃんねる』には、なんと映画の字幕翻訳家、通訳者の戸田奈津子さんが来てくれた。映画好きのオレとしてはとても嬉しいねぇ。津田塾の学生時代は、学校に行かないで、いつも映画館に引っかかってたって話や、共通の友人の話、もちろん映画にまつわるさまざまエピソードなど、話題満載だよ。戸田さんのテンポのいい喋りっぷりも見れるからな。ぜひじっくり見て欲しい。よろしくな!
(TBSラジオ えんがわ)
(聖徳大学)
(ミュージックプレゼント)
(構成・伊波達也)