マムシ流 つれづれ草 第72回

【マイクがあってもなくても、生の触れ合いが人と人との絆を結ぶと心得よ】

 老若男女諸君! 2024年もあと1ヶ月だぜ。早えぇな〜。今年1年、諸君にとっては有意義な年だったかい。近頃の世の中は一年の間でいろんなことがありすぎて、どんな年だったのか忘れちまうよな。でも、来年の新しい手帳を買ったり、今じゃどんどん減っているが、年賀状を書く相手のリストを作ったり、今年1年を振り返っていろいろと考える時間を作ることは大切なんじゃないかな。そうだ、来年はヘビ年でオレの年だ。よろしく頼むぞ!
 
 11月後半のオレはといえば、18日にNHKラジオ第1放送の『まんまる』の『ひとのわ』というゲストコーナーに呼んでもらったよ。
 メインパーソナリティの高山哲哉ちゃんとパートナーのドリアン・ロロブリジーダという面白え奴と話したよ。オレの中継の極意を聞きたいというテーマだったんで、オープニングから下駄を鳴らしての、オレの中継の風情で始まったんだよ。NHKも生放送によくオレを呼ぶね。しかも全国放送だぜ、ハハハ。
 オレの中継の極意の一つに、マイクを相手に向けっぱなしにするということがある。マイクを渡したり引いたりすると、変な間ができるが、あずけっぱなしだとそれがないんだ。あとは中継現場の下見だな。地元の人が普段乗っている電車に乗ったり、商店街を歩いたりして、そこで気づいたことを本番で話題にしてあげることだよ。地元のことを話題にしてもらうとそこに住む人たちは嬉しいんだよ。そして仕入れた情報が100だとしたらそれを10に凝縮して喋るんだ。そうすると濃いだろ。そんなこんなを約1時間にわたって話したら、みんな喜んでたぞ。また爪痕を残しちまったな、ハハハ。
 それから、全国ネットワークの放送で、TBSラジオを連発したぜ。TBSラジオの諸君、感謝しろ。でも、まぁ、いつもTBSラジオで、「エヌ・エイチ・ケー(NHK)」と言ってあげてるんだから、お返しだな、ハハハ。

 前回触れたとおり、先日は聖徳大学の学園祭で講義をしたが、この前は学生相手にいつも通りの講義をした。オレの講義はいつも最後にレポートを書いてもらって、次の講義の時にそれに対するフィードバックをすることにしている。今回、ある学生のレポートに、「給料が安くて、成り手が少ない介護のことをなんで大学で講義をするんですか。必要ないんじゃないでしょうか」というような主旨のものがあったんだ。
 オレは考えた。確かにそういう感想があってもおかしくはない。だって、今教えている80人の学生の中で介護を目指しているのはわずか8人だからな。
 でもね、社会的問題としての介護にフォーカスすると、確かに従事する人が減っているし、待遇も良くない。それなのに要介護の人は増える一方だよ。
 だけど、それを自分ごとの問題として考えてみて欲しいと話したんだ。介護職に着こうが着くまいが、介護ということは、この先、皆さんが歳を重ねるごとに、おじいさんおばあさん、お父さんお母さんをはじめ、周囲の人々がそういう状況になっていくだろ。もっともっと先のことを考えたら、皆さんだってそういう歳になるんだよ。だからね、少しでも年寄りとの付き合い方、年寄りの考えていることを理解できるようにしておいて損はないってことなんだ。介護というのは、ある意味、寄り添う、かまうってことだろ。それは何も年寄りの介護だけじゃなくて、幼児教育にも通じるかもしれないよ。そして寄り添う、理解するというのは、迎合ではなく、相手を認めるということでもある。それを学生の皆さんにはぜひ理解してもらいたいと思ったんだ。それが通じれば嬉しいね。そうすることで良い年寄りにもなれるんだ。
 
 オレと同世代のジジイババアに会いにいくシリーズがすっかり定着した『ミュージックプレゼント』。今回は、大田区蒲田の隣・雑色から歩いてすぐの南六郷・水門通り商店街にある、山田精米店というお米屋さんにお邪魔した。お母ちゃん・山田妙子さんは昭和6年生まれの93歳だ。毎度毎度、オレより先輩で元気なジジイババアに会えるのは楽しいよ。なかなか上品なお母ちゃんで、実家も近所のお米屋さんだったそうだ。空襲もここで遭ったんだとよ。こっちは4月15日だったんだな。大きなお家で、強制疎開にあった何軒かの世帯を住まわせてあげていたそうだけど、空襲で焼けたんだってよ。
 ご主人は20年前に78歳で亡くなったんだ。今、お店は長男の幸朗さん(66)とその奥さんの桂子さん(59)が切り盛りしている。この夫婦、なかなかの美男美女でお母さんの面倒を見ながら日々商売に励んでいるやさしい二人だったよ。幸朗さんは東京米(マイ)スターの資格を持っているそうだ。桂子さんが、青森・弘前の『亀の尾』というお米の新米で握ってくれたおにぎり、うまかったなぁ。海苔は地元・梅屋敷のものだった。
 このあたりは、漁師や船宿など海で働く人々が多くて、みんな声がデカくて荒っぽい。でも柄は悪いが品はいいという江戸っ子気質だな。こういう土地で息づく、昭和を漂わせる古い店は、末長く続いて欲しい。お母ちゃんも長生きしてくれよ!

 さて、今年最後、12月の『マムちゃんねる』は、落語家で”日本のアラン・ドロン”三遊亭小遊三さんが満を持しての登場だ、ハハハ。出身の山梨・大月の話、学生時代のこと、そして噺家としての前座時代の話など・・・、とにかく面白えよ、小遊三ちゃんは。テンポもいいオレたちのやりとりを楽しんで見てくれよ。よろしく!



NHKラジオ「まんまる」
高山アナウンサー&
ドリアン・ロロブリジーダさん

 
山田屋精米店

(構成・伊波達也)

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