マムシ流 つれづれ草 第73回
【世界平和を希求し、守っていくための原点は、家族だと心得よ。】
老若男女諸君! 2024年はあと半月だ。新年へ向けての準備はどうだい? 二十四節気では大雪。確かにその通りの寒さにはなってきたな。七十二侯では熊蟄穴(くまあなにこもる)ということらしいが、秋田では、スーパーに熊がこもって射殺されたなんていう悲しいニュースもあったよな。どうも、季節はもちろん、いろんなところで世の中に歪みが出ているな。今、この時代に大切なことは何か、一人ひとりが考えた方がいいよ。
12月前半は、毎年恒例の、オレの弟分・古谷敏のクリスマスライブに出演したぞ。
今年のテーマは『家族』ということで、オレたちがウルトラ警備隊を演じた『ウルトラセブン』で、オレが主役を務めた第24話『北へ還れ』を取り上げてくれたんだ。母親役の市川春代さんに帰ってこいと呼ばれて、故郷の北海道へ帰るという設定だ。本当は八ヶ岳の麓・小海線の野辺山駅なんだけどね。その時、オレを駅まで迎えに来る妹。その役を演じてくれた、山口奈々さんがゲストで来てくれたんだ。嬉しかったなぁ。あの時以来に逢ったんだよ。58年ぶりだ。何だか生き別れた妹にあったというくらいなもんでな、ハハハ。もちろんこの日は満田かずほ監督もゲストで登場したよ。そしてステージの上で敏も含め4人で語り合った。
映像を見ていて、いろんなことがよみがえってきたよね。そして家族ということについても考えた。オレの場合は、オヤジ、オフクロ、兄貴たちということもそうだけど、考えてみれば、ウルトラ警備隊はもちろん当時のスタッフは、みんな家族みたいなもんだよ。この日は、オレの娘たちみたいな、954のキャスタードライバーだった子たちも見にきてくれていたんだ。言ってみれば、オレはそういう家族に支えられながら、子役の時から今まで育てられてきたようなもんだよ。
家族ということを考えていると、今、戦争で悲惨な目にあっている人々にも思いを馳せたくなるよ。戦争に加担している権力者たちだって家族がいるわけだよな。
そんなことを考えていたら、ある詩のことを思った。
『七歩詩』という三国志に出てくる曹操の息子二人の弟・曹植が作った詩なんだ。七歩詩というタイトルは、権力者である兄の曹丕(そうひ)が、弟の曹植の文才を妬んで、「十歩歩くうちに詩を作れ。さもなくば処刑だ」という無理難題を吹っかけたんだ。そして、なんと七歩目でできた詩がこれだ。
豆を煮て羹(あつもの)をなし
鼓(し)を漉して以って汁と為す
萁(まめがら)は釜下(ふか)に在りて燃え
豆は釜中(ふちゅう)に在りて泣く
本(もと)同根より生ずるに
相煎ること何ぞ太(はなは)だ急なると
つまり、同じ根から生まれた豆と豆殻なのに、なぜ、その豆殻が鍋の中の豆を煎って煮て痛ぶるんだ。豆が泣いている。といったような意味だよ。
これって、今の世界がそうなんじゃないか? ロシアとウクライナしかり。元は同胞なのになぜ戦争で殺し合うんだということだよな。そう思うと、原点である家族を大切にして、周囲の人とも分かり合えるように努力をすれば、ひいてはそれが世界平和につながるんじゃないかということだ。
オレが客員教授を務める聖徳大学でも、先日の授業では家族の大切さを説いた。おじいさん、おばあさん、お父さん、お母さんを思いながらしっかり勉強をがんばれ、といった話をしたよ。年末のこの時期、皆、実家へ帰るだろ。その前に、“家族とは”ということをよく考えて欲しいな。そして、”平和とは”についても考えてくれ。頼むよ!
さて、12月2回目の『マムちゃんねる』は、三遊亭小遊三の後半だ。小遊三ちゃんと言えば、オレの『ミュージックプレゼント』でオレが入院した時や夏休みなどの時、よく代打を務めてくれたよな。たまにやるのはやりにくかったと思うんだけど、一所懸命やってくれたよ。ありがとう。
そして、いよいよ20日は『マムちゃん寄席』だな。詳細はこのホームページのフロントページに載っているよ。今回の出演者も充実のラインナップだ。この忙しい年の瀬にこれだけの連中に出てもらえるのは、すべて席亭であるオレの人望だな、ハハハ。
でも、出演者諸君には、本当に心よりありがとうと言いたいね。まぁ、その模様は新年号で紹介するよ。じゃあ、寄席の本番を楽しみにしていてくれ!
古谷敏クリスマス感謝ライブ
(構成・伊波達也)