マムシ流 つれづれ草 第86回
【今年の後半は、気配り、目配り、心配りの精神でいこう!】
老若男女諸君! 今年も半分過ぎたな。元気でいるかい。
二十四節気では夏至だが、おいおい、もう梅雨明けなのか? こんなに短い梅雨じゃ、水不足が心配だねぇ。一方では、ゲリラ豪雨だよ。人間の体調も心配だが、日本国土の体調も心配だぜ。6月が「水無月」とは皮肉だなぁ。
6月もいろいろあったなぁ。まぁ、なんといっても悲しかったのは、ミスター・長嶋茂雄さんが逝去されたことだよな。オレもいろんなところでコメントしたが、6月21日の東北放送『サタディ・イン・ザ・パーク』でも、長嶋さんのお母さんとお兄さんにあった時の話、例の「初めての還暦を迎えました」の話、多摩川グラウンドでぬかるみの中、ランニングに付き合ってズボンが泥んこになってしまった取材記者に、後日、長嶋さんから高級なズボン生地が送られてきたという話。その他いろいろとっておきのエピソードを話したよ。どの話一つ取っても、長嶋さんの人柄、気配り、目配り、心配りがわかる話だぜ。
6月の『ミュージックプレゼント』も楽しかったな。赤羽のふぐ料理屋『太助』という店にお邪魔した。太助と書いてダイスケと読むんだとよ。ややこしいねぇ〜どうも。
ここの親父・井上博行さんは86歳で今も包丁を握ってるんだよ。図々しいジジイだぜ、ハハハ。息子の博樹さん(61歳)と二人三脚で店を切り盛りしてるんだ。博樹さんもいい男だよ。もちろんふぐもさばけるしな。博行さんは葛飾の立石生まれ。戦争中は山梨に疎開していたそうだ。実家に戻って家業のゴム製品の工場を継ごうと思っていたが、経営が傾いて継げなかった。それで親戚のつてで、料理人の修業に入ったそうだよ。その後、赤坂や向島の店で板長を務め、この番組と同じ昭和44年に自分の店を持ったんだ。ふぐを中心に、自家製あん肝、土瓶蒸しなど人気の料理がいっぱいある。何といっても店の雰囲気が庶民的でいいんだ。
奥さんは12年前に脳梗塞で亡くなって、オレがお邪魔した日の前日が十三回忌だったんだ。いい供養になったよ。二人の馴れ初めを聞いたら、奥さんが6歳上で、修行先で言い寄られたんだってよ。また図々しいな、ハハハ。写真も見せてもらった。綺麗な奥さんなんだよ。でも、奥さんが亡くなった後も博行さんは元気でいるよ。近所の女性がお花を持ってきてくれたりと、今でもモテモテらしい。またまた達者で図々しいジジイだねぇ〜、ハハハ。まぁ、確かにいい男なんだよ。ますます元気で、いけるところまで長生きしてくれよ。
この日は、娘のあゆみさんも途中から参加してくれた。彼女は結婚して別のところに住んでいるんだが、介護職に就てるんだ。お母さんの病がきっかけで、ヘルパーの資格を取ったんだってよ。偉いじゃないか。すらっとしていて可愛くて優しそうな女性だったぞ。
気配り、目配り、心配りができそうな人だ。ここの一家はみんなそうなんだな、きっと。
この店は芸能人も多く訪れて、博行さんは『ウルトラマン』のムラマツキャップだった小林昭二さんと懇意だったとのこと。文学座の人たちもよく訪れていたらしい。
話は尽きなかったが、またぜひ訪れてみてぇ店だった。がんばってな!
そうだ、6月23日は、沖縄慰霊の日だったな。戦後80年。世界中が不穏な今だからこそ、沖縄戦のことも絶対に風化させてはいけない。若者諸君は積極的に、わずかに残された年寄りの話を聞いて、受け継いでいって欲しいよ。オレも少なからず、その役目を果たすからな。
さて、7月の『マムちゃんねる』は、NHKの顔として、紅白歌合戦をはじめあらゆる番組で活躍してきたレジェンドアナウンサー・山川静夫さんが満を持しての登場だ。芸道にも詳しい山川さんが相変わらずの立て板に水で、さまざまに話を転がしてくれているぞ。
興味深い話も満載だ。ぜひ味わってみてくださいよ。
そして、引き続き、エフエム世田谷の「ツナグワラジオ」(毎週土曜日6:30〜7:00)のオレのコーナーも聴いてくれよ。
7月1日は、雑誌「家の光」8月号の発売日だ。林家木久扇さんとの対談、お互いの戦争体験を語り合っているから、こちらもぜひ読んでくれよ!
それと、首都圏主要ラジオ局6局が連携して、『NO!闇バイトキャンペーン』というのを始めたんだが、オレはTBSラジオのアンバサダーとやらを拝命してるんだ。若者諸君!闇バイトには絶対に加担するなよ。わかったか!
(構成・伊波達也)