マムシ流 つれづれ草 第92回

【昔懐かしい仲間との想い出の語らいと笑いが何よりの供養と心得よ】

 ジジイババア諸君、10月だぞ。今年は10月まで暑さが続くのかと思ったが、お彼岸の頃から涼しくなってきたな。「暑さ寒さも彼岸まで」をきちんと守って、日本らしい節度を守った奥ゆかしさを季節が見せてくれたのかな。オレたち人間様も日本人らしい節度と奥ゆかしさを守りたいもんだな。

 9月後半もいろんなことがあった。
 東北放送の「サタディ・イン・ザ・パーク」のオレのコーナーは9月20日で最終回となったんだ。まぁ、始まりがあれば終わりもあるよ。ナベさん(渡辺敏之さん)とは、この番組以外にも長い付き合いだよ。25年位になるんじゃないかな。最終回は仙台のすばらしいところを思う存分語ったぞ。東日本大震災の頃のこと、日本外交の祖とも言える支倉常長の話、東北大学『ナノテラス』の話、仙台に息づいてる数々の伊達政宗精神・・・。オレの教養と知性が溢れ出たね、ハハハ。このコーナーで語るために、いろいろ調べたから、オレもずいぶん仙台通になったよ。『3つのベル』の一つである“調べる”に大いに貢献してくれるコーナーだったよ。ナベさん、マキちゃん(須口まきさん)ありがとうございました。また、いつか会いましょう。

 9月の『ミュージックプレゼント』は、この日で満56年だった。その記念すべき回にでかけたのが、板橋区高島平にある定食屋・割烹の「和食処 味たなか」だ。ここのオヤジ、田中正男さんは今月で91歳になるんだが、まだ現役で包丁を握ってるんだよ。しかも車を運転して豊洲まで仕入れにも行ってると言うから恐れ入った。歌舞伎の仁左衛門さんみたいな風貌のいい男なんだけど、口から先に生まれてきたようによく喋るんだ。減らず口のオンパレードだった。ああ言えば、こう言う、ハハハ。でもこういうジジイとオレは波長が合うからね。元気が出たよ。満56年の回に満を持して出てきたようなジジイだ。高島平と言えば、オレが幾度となくお邪魔した土地だからな。地元のいろんな話にも花が咲いた。
 おっとりしていておおらかそうな奥さんの文子さん、実の妹さん、その友達のババア、ジジイ二人も遊びに来てくれて盛り上がったぜ。
 正男さんは浅草で寿司を握ってたこともあって、オレも食べに行ったことがあったんだってよ。この日も刺し身から自慢の味噌汁まで、いろいろ食べさせてくれたんだが、みんな美味かったよ。いぶし銀の味だね。こういう店、赤坂にぜひ欲しいな〜。
 正男さんは心筋梗塞で倒れたり、自宅で強盗にあったり、いろいろと災難にも遭ったらしいんだが、「人から持ってった金は、身にならねぇよ」って涼しい顔して言うんだからいいねぇ〜。いつまでも元気で長生きしてくれよ。オレと同じでしぶとそうだから大丈夫だな。生きてりゃまた会えるよ。

 9月の終わりを締めくくったのは、大山のぶ代を偲ぶ会。オレも発起人として出席した『大山のぶ代さんを偲ぶ会』だ。2024年の9月29日に亡くなって、この日でちょうど1年経ったんだよ。大山のぶ代(ペコ)はオレにとっては、旦那の砂川啓介とともにかけがえのない友達だったよ。
 だからさ、挨拶ではオレの思いのたけと想い出を、この日に思いついたままに語らせてもらった。四歳もお姉ちゃんだったのに、オレと同じ昭和11年生まれだとサバよんでた話はもちろん、いろんなエピソードを喋ったよ。自分の言葉で、この瞬間に思い浮かんだことを喋りたいと思ったんだ。参列していたペコと仲良しだった十朱幸代ちゃんにも、突然声をかけて語ってもらったよ。野村道子、野沢雅子というペコの古き良き友達だったレジェンド声優の二人も素敵な挨拶をしてくれた。ペコは本当に嬉しかったんじゃないかな。
 彼女はね、本当に面倒見のいい姉御肌の女性で、オレも散々怒られたけど、いい思い出しかないんだよ。参列していた皆さんもそうだったようだ。会の後、マスコミの囲み取材を受けたんだが、すごいカメラの数だったよ。自民党の総裁選か、オレの葬式かと思ったくらいだよ。ハハハ。これもすべてペコの素晴らしさのなせる技だな。控えの間での、新旧交えたダベリ会は笑いが絶えなくて盛り上がったぜ。あっちで見ているペコは心から喜んでくれていたと思う。そして最後に、この日のすべてを仕切ってくれた、元マネージャーで後見人の小林明子ちゃん、本当にご苦労さん。心から感謝するぜ! 

 さて、10月の「マムちゃんねる」は、前回お知らせした、オレの事務所までわざわざ来てくれた超大物俳優だ。その名も高橋英樹さんだよ。日活の黄金時代を過ごし、その後、時代劇へシフトするが、常に第一線で活躍してきた人だから、いろいろと興味深い話ができたぞ。オレと共通する友達の話もできたしな。ぜひ見てくれよ!
 それから、「マムちゃん寄席」の特別バージョン、スペシャルがあるんだよ。玉袋筋太郎とタブレット純二人の、「玉さん&タブさん 昭和歌謡60分」という企画だ。本編の前の14時開場、14時半開演だ。前座みてぇなもんだな、ハハハ。でも面白いと思うぜ。ぜひ見てやってくれ!

 マムちゃん寄席は平成22年(2010年)が第一回目だから15年経ったわけだな。チラシを一枚一枚見ていくと、懐かしいねぇ。あっちへ行っちまった人は、永さんをはじめいっぱいいるよ。みんな元気でいようぜ。


 
大山のぶ代さんを偲ぶ会で、
羽佐間道夫さん、清水マリさんたちと。
                         

(構成・伊波達也)

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